†Orion†〜Nao's Story〜
静かな口調と、そこから語られる真相に、心臓が大きく跳ねる。
「好きなヤツのそういう話って、いちばん訊きたくないじゃん」
「………」
「無理に告白させたのも、おまえに現実を知ってほしかったから。さっさと吹っ切って、先輩のことを忘れてほしかったから」
「………」
「――だけど、すごく辛い思いをさせてしまったな」
“ごめん”という言葉とともに、森谷の大きな手のひらがタオル越しにあたしの頭を優しく撫でる。
「俺の気持ちを知ったからって、別に気を遣わなくていいから。先輩以上にいいヤツを見つけろよ」
言って、森谷の手があたしの頭から静かに離れていった。