†Orion†〜Nao's Story〜
離れたあとも、ほんのりと残っている森谷のぬくもり。
何か、言わないと……。
告白してくれたんだから、返事しなきゃ――……
そうは思うけれど、言葉が出てこない。
「じゃ、俺部活行くから」
森谷はあたしの返事を待つことなく、言いたいことだけ言って立ち去っていく。
タオル越しに聞こえる森谷の足音が、次第に遠くなる。
「ちょ……っ、森谷……っ」
勢いよくタオルを払いのけて振り返ると、すでに廊下に出ていた森谷が驚いたようにこっちを見ていた。
「あ……、あの……」