†Orion†〜Nao's Story〜
「ちょっとやめてよっ!!」
「あ、“娘の”奈緒が来たので、俺はこれで」
爆発寸前の怒りを抑えながら、あたしはズカズカと歩み寄り、亜里沙からお父さんを引き離す。
“娘の”って……、そこも強調するのか。
「恥ずかしいからやめてよ」
「ははっ、嬉しくてつい」
……だから。
そんな優しい顔で笑わないでよ。
せっかく顔の火照りが引いたところなのに。
また赤くなっちゃうでしょうが!
「奈緒ー、お弁当忘れているわよー?」
スリッパの音をパタパタさせながら、お母さんがあたしのお弁当を持ってきてくれる。