†Orion†〜Nao's Story〜
「最近、お父さん見ないけど、元気?」
お父さんの心配をしているのは、あたしたち家族だけじゃなく、亜里沙もだった。
朝、あたしを迎えに来るときに、お父さんの出迎えを受ける亜里沙。
“かっこいい”と絶賛する彼女にとって、お父さんの顔が見れない日はどうにも寂しいらしい。
「元気だよ。今ちょっと忙しいみたい」
「そっかぁ。……あれっ?」
憂鬱そうな顔をしていた亜里沙が、急にハッとした表情であたしを見た。
「奈緒、ピアスは!? どっか落とした?」
慌てたように言う亜里沙に、あたしは何にもついていない耳たぶを触りながら答える。
「あぁ……。塞ぐことにしたの」