†Orion†〜Nao's Story〜


「最近、お父さん見ないけど、元気?」



お父さんの心配をしているのは、あたしたち家族だけじゃなく、亜里沙もだった。

朝、あたしを迎えに来るときに、お父さんの出迎えを受ける亜里沙。

“かっこいい”と絶賛する彼女にとって、お父さんの顔が見れない日はどうにも寂しいらしい。



「元気だよ。今ちょっと忙しいみたい」


「そっかぁ。……あれっ?」



憂鬱そうな顔をしていた亜里沙が、急にハッとした表情であたしを見た。



「奈緒、ピアスは!? どっか落とした?」



慌てたように言う亜里沙に、あたしは何にもついていない耳たぶを触りながら答える。



「あぁ……。塞ぐことにしたの」



< 166 / 220 >

この作品をシェア

pagetop