†Orion†〜Nao's Story〜
「ありがとう」
お母さんからお弁当箱を受け取るあたしの視界に、ヘラヘラと顔を綻ばせるお父さんの姿が入ってきた。
「奈緒、今日のデザートはグレープフルーツのゼリーだぞ。凍ったまま入れているから、お昼には食べごろに……」
「行ってきますっっ!!」
「奈緒~っっ」
お父さんの話もほどほどに、あたしは靴を履きながら慌てて外に出た。
本当はすごく嬉しいんだけど……。
父親として反則すぎるカッコよさに戸惑う。
それに加えて……、あたしにはよく分からないんだ。
“お父さん”ってやつは、こんなものなのかな。
父と娘って、どんなふうに接するものなんだろう? って――……