†Orion†〜Nao's Story〜
お父さんが褒められると、嬉しくて、つい自慢したくなる。
だけど、強がりな性格のあたし。
本音を隠して、毒を吐くことしかできない。
さくらみたいに、もっと素直に歩み寄ることができたらいいのに。
“お父さん”って、自然に呼べたらいいのに。
……できない。
このままじゃいけないって分かっているのに。
「あっ、長谷川先輩だっ!」
「えっ!?」
教室の自分の席で、ぼんやりとお父さんのことを考えていたあたし。
亜里沙の弾んだ声で我に返り、彼女が眺めている視線の先をたどった。
休み時間のグランドで友達数人とサッカーしてるのは、三年の長谷川先輩。
あたしの好きな人だ。