†Orion†〜Nao's Story〜
「違う場所で、徹底的に争って、真意をはっきりさせましょう」
余裕たっぷりに笑うお父さんに、あたしは背筋が冷たくなった。
結局。
警察に通報しないまま、お父さんのおかげであたしはやっと解放された。
……オバチャンだけは、やっぱりあたしを疑いの目で見ていたけれど。
「……家まで送ってやりたいけど、仕事があるから。ごめんな、奈緒」
「……ううん。あたしこそ、ごめん」
「なんで謝るんだよ。おまえは悪くないだろ?」
一度は止まったはずの涙が、またじわりとこみ上げてくる。
「信じてくれて……ありがとう」
「信じるのは当然だろ。だっておまえは俺の……」
言いかけて、お父さんは口を噤む。