†Orion†〜Nao's Story〜


あたしは、その言葉の続きを知っている。


“俺の娘だから”


きっと、胸を張ってそう言いたいんだ。



「“俺の娘だから”でしょう?」


「奈緒……」


「……赤の他人だとか、酷いこと言ってごめん。あたし……、先輩のことで頭がおかしくなってたんだよ。……あ、だからって、アレはないよね……」



涙を零しながら苦笑するあたし。

お父さんはそんなあたしの頭を優しく撫でる。



「……ったく。長谷川の女好きは家庭崩壊につながりかねないな」


「ちがうよ、あたしがバカだったんだよ。周囲の声に耳も貸さないで」


「そうだな」


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