†Orion†〜Nao's Story〜
「……今日もカッコいいなぁ」
長谷川先輩の姿にうっとりして、あたしは深い溜息をこぼす。
先輩は、お父さんと同じくらい背が高くて。
校内では、いわゆる“イケメン”の部類に入っている。
かといって女子に大人気ってわけでもなく、ほどほどに人気がある程度で。
少し頑張れば、あたしにだって見込みありそう……かな?
「奈緒さぁ、まだ告白しないの?」
「えー? するよー? 先輩の卒業式の日に!」
強気な性格のくせに、こういうところは情けないくらい弱気だ。
卒業式の日に告白。それはもちろん、計算あってのこと。
振られた場合、もう二度と顔を合わせることはないから。
気まずい思いしなくて済むし、先輩の顔見て泣くこともないしね。