†Orion†〜Nao's Story〜
ヘタレとか、そういう問題じゃないでしょ、この場合。
そりゃあ、先輩のときは勢いで“好き”って言えたけどさ。
“好き”の言葉を待っている相手に対して、改まって言うのは緊張の度合いがあまりにも違いすぎる。比べ物にならない。
「……き」
それでも。
小さな小さな声で。そして、うつむきながら。
少し離れたところにいる森谷に向かって、ボソリと呟いてみる。
「斉藤さーん、きこえませーん」
そんなあたしに、森谷は小学生のような口調で言い返した。
「す……」
あぁ、いやだな。こんな告白のしかたって。