†Orion†〜Nao's Story〜
「やっぱいい。明日にする!」
もう、あたしの頭のなか、いっぱいいっぱいで。
今日はとてもじゃないけど、“好き”だと言うことなんかできない。
「なんだよそれ」
「あんた、部活でしょ? て言うかあたし、まだ完全じゃなくて、明日になったら完全になっているから。うん、明日になったら、完全に好きなんだよ」
「…………」
よし、これでいい。
そう思った瞬間に、森谷がニッと笑い、あたしは「あ」と声を漏らす。
「絶対だな? 明日、朝イチで“好き”って言えよ?」
「あ、朝イチ……」
「じゃあな、また“明日”」
明日、という言葉を強調して、森谷は学校のなかへと消えていった。