†Orion†〜Nao's Story〜
「うわぁ、あんたってば卑怯」
あたしと森谷の、朝のやりとりを一部始終見ていた亜里沙。
彼女のいまの顔は、あたし以上にしかめっ面になっていると思う。
「だいたいねぇ、あたしは卒業式に告白するって決めてんだから」
「でもさ、森谷に言ったじゃん。しかも、今日の放課後告白します、みたいなニュアンスで」
「え? なんのこと?」
左手を口元にあて、わざとらしく“おほほ”と笑ってみせる。
亜里沙はそんなあたしを見て、呆れたように溜息をついた。
知らない知らない。
今朝、森谷に言ったことは、その場の勢いってことで……
「………?」