†Orion†〜Nao's Story〜
お父さん手作りのハンバーグに箸を伸ばすと、それよりも早く、後ろから細長い指がにゅっと現れた。
きれいな長い指は、あたしが食べようとしたハンバーグを奪い取っていく。
「ちょ……っ」
指をたどった先には、無表情のままハンバーグを頬張る森谷の姿。
「うまいじゃん、これ」
「……あんた何てことすんのよ! あたしのハンバーグ……」
お父さんが作るハンバーグは絶品なのに。
お弁当のおかずのなかで、いちばん楽しみにしているのに。
……しかも今日に限って、いつもは二個入っているハンバーグが一個しかないのに。
それを……
「今日の放課後、南校舎の裏に、長谷川先輩を呼んどいたから」
「は!?」