†Orion†〜Nao's Story〜
2.コクハク
午後の授業が終わり、とうとうやって来た放課後。
帰り支度にいつもより時間をかけていると、亜里沙が心配そうな顔をして訊いてくる。
「ね、どうすんのよ。先輩、待ってるんでしょ?」
「……うん」
森谷が先輩にあたしの名前を出した以上、行かないわけにはいかない。
でも、あまりにも酷い仕打ちだ。
先輩に彼女がいる、という現実を知るための告白。
思いを伝える、とか、そんな生易しいもんじゃない。
クラスの大半が教室を出ていくなか、未だ椅子に座ったままのあたし。
時間だけが無駄に過ぎていく。
何度目かの溜息をついたとき、
「……早く行けよ。先輩が待ってるぞ」
憎たらしい声が、あたしを急かしてきた。