†Orion†〜Nao's Story〜
「返してよ!」
教室を出てすぐ森谷に追いついたあたしは、バッグを奪い取り、じろりと睨みつける。
「あんまり待たせると嫌われるぞ」
あたしの睨みなんか気にもせず、森谷は意地悪そうな笑みを浮かべながら言葉を続ける。
「あ、嫌われたってどうってことないか。先輩には彼女いるんだしな」
「……あんたってホント、最低! 先輩に彼女がいるって言うんなら、こういうことしないでよ」
「彼女がいるからこそ、こういうことしてんだよ。さっさと振られて、次の男見つけろよ」
「……っ……」
あまりにもムカついて、言葉ひとつ出てこない。
森谷はそんなあたしを残して、階段を下りていく。