†Orion†〜Nao's Story〜
「俺ら付き合い始めたんだから、敬語はやめよう」
「……あっ、そ、そっか」
“付き合い始めた”という先輩の言葉にドキドキしてしまう。
あたしは、先輩の彼女なんだ。
先輩は、あたしの彼氏なんだ。
改めてその関係を思い知らされたような気がした。
ドキドキしっぱなしだった帰り道。
いつも遠くから見ていただけだった先輩は、あたしが思っていたよりも気さくな人だった。
あたしの緊張をほぐすかのように、バカな笑い話をしてくれたり。
……かなり耳を塞ぎたかったけれど、森谷の話をしてくれたり。
家に着いたのが、とてもあっという間に思えたんだ。