†Orion†〜Nao's Story〜
ガチャッと、予告なしに突然部屋のドアが開いた。
と思ったら、ズカズカと歩み寄る足音。
安全ピンを持ったあたしの右手は、あっという間に自由を失った。
「ちょっ……!」
「何やってんだ!」
反射的に振り返ると、お父さんがひどく険しい顔をしていた。
「離してよっ。なんなの!? 勝手に人の部屋入ってきて!」
「おまえこそ何やってんだよ。ピアスなんて……っ」
「あたしの勝手でしょ? ピアスくらいいいじゃないっ」
さくらとは違って、あたしはもう高校生なんだ。
ピアス程度のオシャレ、誰だってやってる。