解き放つ時。
「黙れ」


胸倉を掴み、低い小さな声で言った言葉に次は馬鹿女が固まる番だった。
きっと、俺がここまで怒ると思ってなかったんだろう。



「ご、ごめんなさい」



目を見開き驚いた顔をし、謝るこいつを見たら俺はまだまだ餓鬼だと痛感した。聞き流せばいいのに、ムキになって…こいつだって悪気があった訳じゃないはず。



「いや、俺の方こそごめん」



皺くちゃになった衿元を直し、俺は部屋に戻った。
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