解き放つ時。
「なんて偉そうな事言ってすみません。アタシだって、事件から暫くはシンゴさんと同じ状態でした。義理の父を殺すって心に誓った。刑務所から出てきて…門の所で殺してやろうって。あの人、殺して刑務所入るなら本望だって」



「………」



「でも、そう誓っても殺すのに15年待たなきゃいけない。今すぐ殺してやりたい。でも、それが出来ない」



「………」



「毎日が、辛くて苦しくて寂しくてどうしていいかわからなかった。そんな気持ちを紛らわすために、不良と言われる人達とつるんで好き放題やる毎日で…警察にお世話になる事もありました」



「………」



「ある日、いつもみたいに補導されて警察に連れて行かれたんです。お母さんが死んでから、引き取ってくれる親戚の人もいなくて施設に入ってたんですけど…迎えにきてくれなきゃ帰れないし、いつも来てくれるのは施設の人。なんでアタシのお迎えはお母さんじゃないの!って悲しくて…」
< 62 / 70 >

この作品をシェア

pagetop