―愛束縛―



鈴…




鈴にしてあげられる事は 何があるのだろう




「鈴 ご飯だよ」

スプーンでひとさじずつ口に運ぶ

あまり口は開かない ずっと 空を眺めている

「鈴 食べないと身体が弱ってしまうから食べて」


少し口が開く



「ゆっくり飲み込むんだよ」


ゴクッ 鈴はゆっくり飲み込む




小さなお椀に半分ほどのお粥を食べる




細くなってしまった腕
生気のなくなった瞳


「鈴…」


俺は鈴を抱き締めながら泣いた


「ちゃんと俺がついていないからだ…ごめんな ごめんな」






ポツン




鈴の目から 涙が一粒こぼれた


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