―愛束縛―



鈴が涙を流した あの日から 一体何日経ったのだろう


俺は 仕事と鈴の世話を毎日 みんなの手を借りながら やって来た


鈴は あれから固形物を食べれるようになり 挨拶程度なら 話せるようになっていた



「鈴…子猫をもらって来たよ」

少しでも鈴が 癒されるように 会社の人から産まれたばかりの子猫を一匹もらって来た

「かわいい」


鈴は 愛しいそうに子猫を抱いた



久し振りに鈴が見せた 笑顔だった


とても とても 綺麗な笑顔だった


あんまりにも綺麗だったから 抱き締めてしまった


抱き締めた鈴の身体は 少し震えていた



鈴の傷は 想像以上に深かった



< 118 / 138 >

この作品をシェア

pagetop