―愛束縛―



「鈴着いたよ」


どれぐらい経ったのか アタシはいつの間にか寝ていた


「気持ちイイ!」

太一が叫ぶ


「うわぁ!!!」

それに続いてアタシも叫ぶ



「今日の海は最高だね?」

「本当 風もそんなにないから波も荒くないし…ちょっと歩こっか?」


「うん」


アタシは嬉しくて おもわず太一の腕に自分の腕を回した

太一は横を向きアタシの手を握って服のポケットに手を入れた



アタシ達は あまり何も話さず海辺を歩いた




「あれ~!もしかして…この前のお姉さんじゃん!」

横から聞き覚えのある声がした

街で追いかけて来た 3人だった

「彼氏? 彼氏いるのにあんな所歩いてたらダメじゃん…」



「太一 行こう!」

「何?あんな所って…」


「彼氏知らなかったの? お姉さんひとりでホテル街の方歩いてたんだよ」

「彼氏が相手しないからじゃないの?」

「それとも 満足出来てないとか?」

3人はギャハハと笑い 口々に言った



「お願い!太一 もう行こうよ ほっとけばいいよ…」

少し顔色の変わった太一を抑えるように手を引いた



なのに

「だから俺達がお姉さんの相手してあげようかと思って…」

そう3人組のひとりが言い終えるか終えないぐらいのところで 太一は殴りかかった


「太一!止めて!」 アタシは 奴等と太一の間に入って止めようとしたけど無理で 太一は3人ともを殴り

「絶対にコイツに手を出すな!もし話し掛けたりでもしたら 俺はお前達を生かしておかないからな」
と言って 切れた口から出る血を拭きながら アタシの手を引いた

「大丈夫?…ねぇ太一?」


「なんで!ホテル街なんかひとりで歩いた?」

「路地裏の古着屋とか雑貨屋とか見てまわってたら いつの間にかホテル街の方に行ってた」

「何もされてない?」

「追いかけられたけど…大丈夫 高崎さんが助けてくれたから…」

「あの雑貨屋の?」
「うん…」



それから太一はずっと黙ったままだった


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