―愛束縛―
「ちょっと待って!! 何?意味が分かんない・・・ってまさか…アタシのお父さんが昔から愛してる人って…拓海のお母さん?」
「そうみたいなんだ…俺 それを聞かされたのあの雪の日なんだ…
俺のお袋が突然 ポロポロ泣き出して話しを聞いたんだ…元々 親父は帰りが遅くて家にいない人だから 寂しかったのかもしれない だけど話しを聞いていたら…そうじゃなくて昔から愛してた人がいるって それが三上って名前だって聞いて驚いたよ…」
「ごめんね拓海 アタシの母さんが…」
「だけど俺のお袋は 気にしてないって…あいにく俺の両親は元々メチャクチャ仲が良いワケじゃないから…いつもと変わらず上手くいってるし
それよりも 鈴のお母さんが亡くなった事をひどく悲しんでいた」
「そう…」
「だけど…俺達は上手くいくよな…」
「拓海…」
拓海がkissをしてくる
煙草の匂いが鼻につく
拓海の舌がアタシの口に入ってくる
…違う
…何か違う
アタシは拓海を押しのけた
「ごめん…」
拓海はアタシの手をぐいぐいと引き どこかに連れて行く
「ちょっと どこ行くの?」
「いいから ついて来て」
痛いぐらい引っ張って 早歩きで歩く
「もう少しゆっくり歩いて…それに手が痛いよ」
拓海の耳にアタシの声は届いていないようだった