―愛束縛―



拓海が連れて来たのはホテル街

「嫌だ 今日は生理だから行かない!」

「生理でも構わない」

「汚いから…アタシが嫌だ!」

「大丈夫だから」


拓海は力ずくで ホテルに連れ込もうとする

「お願い!アタシ本当に好きな人がいるの!だから離して!」

アタシの口から自然と出た言葉だった



ホテル街の狭い道に入り込み拓海は言う

「なあ鈴…頼みがあるんだ」


拓海は煙草に火を点け アタシに渡す


「このタトゥ焼いて…」

拓海の目は本気だった


「出来ないよ…」


「だけど…このままじゃあ俺 他の女抱けない だから鈴の手で消して…」


「出来ない!」


「じゃあ…このまま俺が抱いてもイイ?」

「・・・」


「本気で好きになった人が出来たんだろ ・・・頼むよ 消して…」


「そんな事アタシ出来ないよ…」


「分かったよ…」


拓海はシャツの裾をまくり上げ アタシの持ってる煙草を取り 自分で肩に押し当てた

ジュッという 鈍い音と皮膚の焼けるニオイがした
拓海は額から汗を出した

アタシは額の汗を拭こうとした

「もう構わなくていいから…帰って 」
拓海は頼むように言う


アタシは“ごめん”と一言残して その場を離れた


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