【短編】デカダンス
思考は泥のように泥(なず)み、既に意味などなさない。
けれど僕の雄としての本能か、これからすぐに来るだろう未来を意識にちらつかせていた。
家族というまやかしの倫理より。
家族という濃厚な背徳観が勝ったのだ。
体は義姉の全てを受け入れる。
緩慢に僕のシャツを脱がし、露わになった肌に舌を滑らせる。
視線は交わしたまま。
怒張した下腹部がとつも窮屈で義姉が握る度に声が出そうになる。
縋るように義姉の黒い双眸を見つめると、薄く口端を吊り上げた。
滑らかに、親指と人差し指が股間のチャックをつまむ。
そして、イタズラっぽく僕に尋ねた。
「したい?」、と。