【短編】デカダンス
義姉が初めて男を連れてきたのはついこの間の事。
部活を終え、遅くに帰宅すると帰る間際のソイツと鉢合わせになった。
金髪が目立ち、幾つものピアスが耳を飾るソイツは一目見ただけで嫌悪観が湧き上がるような奴だった。
ソイツを見送る義姉のうっすらと笑むその表情からは女の匂いがした。
そして、あぁ。と理解した。
二人の関係を、何をしていたかも。
嫉妬が湧いた。
憤りが湧いた。
悲観が湧いた。
困惑が湧いた。
絶望が湧いた。
その全てが僕の中で渦巻く。
混在した心中が思考した事はただ一つだけだった。
それから、僕と義姉は身体を合わせる事はなくなった。