【短編】デカダンス
3
雷を伴った驟雨(しゅうう)が地面を穿つ。
結局、終わりも同じ様な雷雨の夜だった。
けど結果論から言えばそれは恵みの雨に他ならない。
激しい雨音は僕の気配と足音を抽出し、返り血を洗い流してくれた。
天すら、僕の行動を肯定してくれてるようだ。
薄ぼんやりと闇に徒(あだ)なすように光る街灯の下、
灰色の大脳と脳漿(のうしょう)を撒き散らす金髪を間に置き義姉はそこにいた。
義姉は突然の驟雨にも関わらず傘を差していた。
肉厚な唇、それとヌラヌラと快楽へと誘う膣内を連想させる薄紅の傘。
けど今その色は血と肉を連想させる方が遥かに容易かった。
義姉はいつもと変わらぬ喜悦を孕んだ表情を湛えている。
傘と相まってどこか優雅ささえ感じさせた。
濡れそぼっている僕とは違うのだ。
僕が手に持つのは狂気を内包したスコップで、流石に雨ははじけそうにない。