【短編】デカダンス



対照的に義姉は濡れてはいない。


雨に、そして僕にも。


もう僕が濡らせる事もないのだ。理解は、してる。


それに僕は自身の端的な感情の起伏による凶行をキチンと理解しているつもりだ。


小さく傘が揺らいだ。


義姉が小さく呟いた。


声は雨に流され聞き取る事は叶わなかったが、何となく言ってる事はわかっていた。


その言葉さえもあの日と一緒だ。


僕は一瞬、瞬きとは異なる瞑目を挟み、スコップを振り上げ、踏み切り、刹那、傘を巻き込み義姉の頭部を叩き割った。


傘と血と肉、眼球に大脳、脳漿、頭髪、皮膚が街灯の下、存外、艶やかに飛び散る。


義姉は倒れ伏し、動かない。これから先、永遠に。



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