妄想哀歌[短編集]
「すみません、すみません、二つ隣のものですが」
「はーい」
「すみません、すみません、二つ隣のものですが」
「藤宮さん、どうなさっ…」
「残酷な朝ですね、今日は」
めり込む手元
気付けば温かな液体が手に染みる
ああああ
よかったよかったよかったよかったよかったよかったわ
気付けば彼はもうぶら下がってる
残念残念残念!
あれ?あれあ れ?あれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあ
じゃあじゃあ
あれは誰、部屋に来ている二つ隣の方
間違い間違い間違いない。
奥様が恨んでる恨んでる
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
「おはようございます」
そっと後ろから声がした
そして気付いた、私の体から溢れ出す暖かな液体 真っ赤。
「皮肉な朝におはよう」
シュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッ
私、まだ意識があるわ
よかった私はまだまだ
ねぇ佐々木さんの奥様、話を…
「首はしっかり落としてもらわないと…ね!」
気付けば天地が逆転しているような
私の、いや私だったものの物体についていたアレモノは今まさに吹っ飛んでいった
シュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッ
シュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッ
ああ
あの時、しっかり確認していれば
END.