妄想哀歌[短編集]
「浮気でも1回目だから許してあげる」
「あろれ!しいがくへさ」
彼女は急に手を話したせいで
僕は転ぶ 派手に転ぶ 痛い
「月曜に転勤なんだ」
「どこ?」
「県外」
「どの辺?」
「ここから大体電車で空港で飛行機だから…」
「ごめん遠い事は分かったからいい」
手を左右に振りながら彼女は言う。
僕が言うのも難だが頭はよくない
「そっか、だから最近様子おかしかったのか!」
「でも、気付いてたんだ」
「分からないとでも?私、これでも君の彼女だよ」
ニヤニヤしながら自慢げに言う
そんな彼女が愛おしい。
「ごめん、すぐ言えなくて」
「ううん、私も浮気と勘違いしてごめんね」
僕らはまた笑った
でも、僕はいつか…
今でなくても近い未来にでも
彼女の笑顔や幸せを壊してしまうんじゃ
ないかって
すごく怖いんだ。
「ねぇキスしていい?」
沈黙を破るように
彼女はにっこり微笑みながら言う