笑顔
そんな事を考えていると、
私の腕を引っ張っていたはずの怖いその人は、
「おい!何か言えよ!
黙っていたら分からない」
と、少し本当に少しだけ
優しくなった声で言われ
しばらくの沈黙の後、私はゆっくりと話し始めた。
「好きだよ…佐藤君は私をギュッて抱きしめてくれた。
だなら佐藤君が好き」
「へぇー抱きしめられたら好きになるんだ。
じゃあさ、今俺を好きになれよ」
と言いながら、
掴んでいた腕を引っ張られ、
私を力強く抱きしめられた。