雨上がり後、両想い
「晃(アキラ)!!」
あたしはそいつの名前を急いで呼ぶ。
「千裕(チヒロ)…何?」
ダルそうに晃は振り向いた。
「傘忘れた!入れて!」
「…また?いつになったら忘れなくなるわけ?」
あたしが笑顔で言うと、晃はため息をついて言ってきた。
「まぁまぁ、今日朝晴れてたからさぁ。だから、ね?」
「朝晴れててもいつ降るか分かんないのが梅雨だろ。ったく、しょーがねぇ奴…。」
ブツブツ言いながらも晃はあたしを傘の中に入れてくれる。
あたしと晃はお隣さん。まぁ、幼なじみ。
あたしはそれを理由に晃と一緒に帰る。
相合い傘をしながら…。
だからあたしは毎日傘を持っていかない。
だって…
それ以外に晃と近づけることがないから。