雨上がり後、両想い


そうだよね…。
やっぱり嫌だよね…あたしと同じ傘で帰るのなんて…。

今まで一緒に帰ってたことの方が可笑しかったんだよね…。


「おい、どうした?気分でもわりぃのか?」


晃の言葉に俯いてしまったあたしに、晃は心配そうに声をかけてきた。

あたしはその声にはっとした。

今まで嫌な思いさせてたのに次は心配までかけさせちゃダメ。もっと嫌われるじゃん!

とにかく笑顔、笑顔…


「だぁいじょうぶ!!ってか、晃気が利くね♪ありがたく使わせていただきます。」


よし、笑えた。
大丈夫、辛くない…。


「そうだな、おまえに限ってんなことねぇな。んじゃ、大切に使えよ。」


晃は気づいていないらしく、笑って傘を渡してくれた。

それがあたしをよかったような、辛かったような、複雑な気持ちにさせた。


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