雨上がり後、両想い
ズキッ…
やだ……晃と他の子が話してるところなんか見たくない…
それもあんな楽しそうに…
晃の顔からは楽しそうな笑顔が見えた。
あたしと一緒の時は全然話してくれないし、あんな笑顔も見せてくれなかったのに…。
あたしは目からは涙がこぼれそうになったのを必死にこらえた。
あたしはその場から動けなくなっていた。
「それでさぁ、あたし傘忘れちゃったんだよね〜。あたしの家、晃君の家の少し前なんだ。だから途中まで入れてくれない?」
え…?
その子が言ったことがあたしはすぐに理解できなかった。
でも、理解するとあたしは無意識に足が動いていた。
「晃!」
あたしの声に晃は気付き、振り向いてくれた。
「…何?」
「…この傘やっぱいいや!返す!」
「は…?何言って…「鞄の中よく見たら、傘あった。だからいいや!はい、ごめんね。じゃね!」
「おい!千裕!!」
あたしは無理矢理晃の手に傘を持たせ、晃の声なんて聞かずにそのまま外に走った。