月から堕ちたアリス
リットは空を仰いだ。
「――次に、ある少女が僕のもとにやって来た。まだ幼いその少女は、苦しい家計の足しにするため、実の両親に自分を売られたんだ。…いわゆる“人身売買”ってやつさ。」
『…っ!!』
「だが彼女は売られて運ばれている途中に無我夢中で逃げ出し、偶然にもこの塔に辿り着いた。」
『そんなことが――…』
「彼女は帰る場所も何も無いと言って泣き崩れた。そのとき、僕は柔らかい風を纏い始めた彼女から不思議な力を感じた。それと同時に、彼女は努力次第で凄い魔術師になるだろうと確信したんだ。」
…これはきっと、トリルのことだろう。
まさかあの子達にそんな過去があったなんて…
幼い頃から大きな壁が立ちはだかっていて、それはどんなに辛かったんだろう??
――それはきっと、言葉では言い表せないくらいのものだったんだよね…??
「――次に、ある少女が僕のもとにやって来た。まだ幼いその少女は、苦しい家計の足しにするため、実の両親に自分を売られたんだ。…いわゆる“人身売買”ってやつさ。」
『…っ!!』
「だが彼女は売られて運ばれている途中に無我夢中で逃げ出し、偶然にもこの塔に辿り着いた。」
『そんなことが――…』
「彼女は帰る場所も何も無いと言って泣き崩れた。そのとき、僕は柔らかい風を纏い始めた彼女から不思議な力を感じた。それと同時に、彼女は努力次第で凄い魔術師になるだろうと確信したんだ。」
…これはきっと、トリルのことだろう。
まさかあの子達にそんな過去があったなんて…
幼い頃から大きな壁が立ちはだかっていて、それはどんなに辛かったんだろう??
――それはきっと、言葉では言い表せないくらいのものだったんだよね…??