月から堕ちたアリス
「何故全滅したのか――


…それは、ハートの女王の仕業だったんだ。」

『どう、して…??』

「今のハートの国の支配が完成した経緯を知ってるか…??」



あたしはこくりと頷いた。



「ハートの国の兵士が“妙な力”を使ったという話。…それが関係している。」

『“妙な力”…。』



ラビから聞いていたため、何となく聞き覚えがある。



「ハートの国がダイヤの国に攻め入る前の話だ…。半竜族はダイヤの国にあるガーネット山脈に住む、ダイヤの国最強の一族と言われていた。――だが…ハートの国の兵士が突然“妙な力”を使ってその半竜族だけを狙って奇襲したんだ。」



リットは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。



「おそらく、ダイヤの国最強の一族と言われる半竜族を実験台にしてその効力を試したんだろう。その証拠に…半竜族が襲われて間も無く、世界がそのことでパニックに陥っている隙にハートの国がダイヤの国を攻めて支配下に入れた。そしてその後に他の2国も…。」

『支配のために…何の関係もない一族を丸ごと潰したっていうの…??………そんなの、ひどすぎるっ…!!』



あたしは震えが止まらない。


目的のために手段を選ばないなんて…


そんな奴等があたし達の敵なの…??!!



恐い…





…恐いよ…。
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