月から堕ちたアリス
「僕等は…この世界はね、アリス…。………君を待っていたんだよ。―――救世主(アリス)を…。」



あたしはその言葉に胸を打たれた。


この世界が、あたしを………



「“奇跡の魔術師”と言われる僕にだってできないこと…。それが君にはできるんだ。世界を救える力を君は持っている…!!」

『……………。』

「記憶を抜かれて力がほとんど無いという君から感じた、小さくとも強い不思議な力…。僕は直感したよ。――あぁ、この歪んだ今の世界に終止符を打つ人がやっと現れたんだ…ってね。」



あたしとリットは目が合った。






















――すると、リットの目から一筋の涙が流れた。





…友人を失って、


悲しい気持ちをずっと押し殺して、





――あなたは友人の最期の望みを叶えようと頑張っていたんだよね…??



「魔術師としてじゃなく…リタルダンドという名の人間としての君へのお願いを聞いてほしい、アリス…。」

『…うん。…何…??』




















「この世界に以前のような平和を取り戻してほしい。




――それから…、



ルビーを――…」
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