月から堕ちたアリス
『ホント神具のこと詳しいよね、トリル…。』

「はいでしゅ!!神具の知識の基礎についてはお師匠様からの課題で、ルビーしゃんとドルチェしゃんも一緒に勉強してたんでしゅけど、トリルは神具の勉強が好きでもっと深く知りたくなって自分で調べたでしゅ。」


『あの2人も神具のこと結構知ってるの??』

「はいでしゅ!!実物さえ見れば、どの神具でどんなことができるかくらいはあの2人も大まかになら分かるでしゅよ。ルビーしゃんはちょっと苦手分野みたいでしゅけど…。」

『へぇ〜。』



そっかーみんなちゃんと勉強してるんだ。


偉いなー。


そういえば、あたしはあっちの世界にいたときちっとも勉強してなかったなぁ…。



「アリスしゃん…」

『ん??』

「アリスしゃんは…トリルやルビーしゃんやドルチェしゃんのこと…お師匠様から聞いたでしゅか…??」

『……うん…。聞いた…。』

「そうでしゅか…。」



トリルは悲しそうに微笑んだ。



「実の両親に売られたトリルのこと…軽蔑…しましゅか…??」



トリルは震えながら、声を絞り出すようにして言った。


あたしはいても立ってもいられなくなり、トリルをぎゅっと抱き締めた。



『そんな訳無い…!!…辛かったよね…よく頑張ったね…。』

「――アリス…しゃんっ…!!」



トリルの大きな瞳から大粒の涙が溢れた。
< 112 / 246 >

この作品をシェア

pagetop