月から堕ちたアリス



















「トリルはハートの国の出身なんでしゅ…。元々はとても平和で豊かな国だったでしゅ。――でも、国民想いの優しい女王様は、突然人が変わったようにやりたい放題…国民から莫大な量の納め物やお金を巻き上げるようになってしまったでしゅ…!!」

『人が…変わったように…』

「家計が苦しくなったのは…その悪政のせいなんでしゅ…!!…だから、お父さんとお母さんがトリルを売ったのは…仕方無かったでしゅ…!!」

『トリル………』

「――でも…本当は苦しかった…悲しかった…寂しかった…。……守って…ほしかった…!!!!」



トリルはそこまで言うとあたしを抱き締め返し、大声をあげて泣いた。



こんな小さな子がここまで苦しめられているなんて…









…許せない。





絶対に許せない…!!!!





『今度はあたしが…トリルを守ってあげるから……これ以上ハートの女王の好きにはさせないから…!!!!』

「…ふえっ…!!アリスしゃん…ありがとうございましゅ…!!!!」



あたしは改めてこの世界を救う意志を固めた。
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