月から堕ちたアリス
――そして…





朝を迎えたあたし達は出発の準備を整え、塔の外に出る。



リット、ドルチェ、トリルの3人も外まで見送りに来てくれた。



「ルビー、これを…」



新しく黒の長い羽織を身に付けたルビーの首に、リットは首飾りをかけた。


首飾りには竜を象った金属製のオブジェが付いていて、その竜の瞳には神石が埋め込まれている。



「これっ…!!何でお前が“護龍”(ゴリョウ)を持ってるんだ??!!これは俺の親父の宝だったハズだぞ!!」

「…昔、君の父親からもらった。というより、互いの宝を交換したんだ。――友情の証として。僕は代わりに“占鏡”(センキョウ)を彼に渡した。」

「…あの手鏡…そうか!!…だから親父は俺達の運命を知って…俺を――…」

「父親の形見…それは今君が持つべきだろう。旅に一緒に連れて行くんだ。」



瞳を閉じ、ルビーは竜のオブジェを握り締めた。



「…“護龍”。」



ルビーがそうつぶやくと、彼は青い光のベールに包まれた。



何て美しく幻想的なんだろう…。





少しして、ルビーはその力を解いた。



「間違いねぇ…“護龍”の力だ。――リット、ありがたく受け取っていくぜ…!!」

「…あぁ。」
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