月から堕ちたアリス
「…君…昨日は悪かったな。」



ドルチェがボソッとあたしに向かってそう言い出す。



『え??何が??』

「何がって…夢に引きずり込んだことと、おぶってもらったことだ…。」



ドルチェはぷいっと顔を背けながら言った。


…照れてんのかなこれ??


それにしても今よく考えてみたら、ドルチェのどことなく高飛車な感じ…確かに貴族の息子っぽいな。



『気にしてないよ。――むしろ…』

「??」

『…良い夢をありがとう。』

「………。」



最後に有村 優として少しの間良い夢を見れた。


それは本当に良かった。


だからもう…有村 優に対しての未練は無い。





『…っていうことだから、あたしのこともう優じゃなくてアリスって呼んで良いよ、ラビ。』

「…??」



ラビは不思議そうな顔をしていたが、分かった、と了承した。





『ってかさ――あの夢の歩って、結局ドルチェだった訳だよね??』

「そうだけど??」

『あの、さ………』

「…??」

『あのキス…とかってさ…??もしかして…』

「??もちろん僕が君にしたんだ。まぁ所詮夢の中でしたことだし――…」





…………………………。



































『――こんの…マセガキ〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!』

「ぎゃあああぁぁっ!!!!」



あたしはドルチェを“凛月”で思い切り殴った。



「あああっ!!!!月の神の芸術、“凛月”がぁぁ〜っ!!!!」

「あっはっは。…って、心配するのはそっちなのか??トリル。」



ドルチェではなく“凛月”を気に掛けるトリルに、リットは笑いながら突っ込みを入れていた。
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