月から堕ちたアリス
その時、あたしの頭の中にふと何かがよぎる。
【君の思うままに旅をすると良い。きっと見つかるよ。記憶は4つの国にそれぞれ1つずつある。】
『あたしの…思うままに…』
夢に出てきたあの猫の言葉…
本当なのかな…??
でも今の状態じゃ、確かに自分の勘を信じて進むしかない。
『2人とも。』
まだぎゃあぎゃあと言い合っていた2人は、あたしの呼び掛けに振り返る。
『…決めた。北へ進もう。』
「北??」
「お前北に何か心当たりでもあんのか??」
『無いっ!!』
「………お前なぁ…じゃあ何で――」
『――救世主(アリス)の勘。』
あたしはニッと笑いながらきっぱりとそう言い切った。
「…良いじゃん、それ。そうと決まれば早速北の方角へ行こう!!」
「……ぁああ〜〜〜!!!!もう勝手にしやがれ!!」
『うん!!』
そしてあたし達は進路を北にすることに決めた。