月から堕ちたアリス
「――お姉ちゃん達、だぁれ??」
急に後ろから聞こえたその声に振り返ると、小さな少年が畑からあたし達を珍しげに見ていた。
その少年は泥だらけで、手には何かの苗を持っている。
おそらく畑仕事中だったのだろう。
『こんにちは。あたし達は一応旅人なんだけど…』
「旅人っ?!」
少年は畑から出てあたし達のところへ駆けてきた。
「うわぁ〜良いなぁ!!オイラも旅してみたいなぁ!!」
少年は満面の笑みにキラキラとした瞳であたし達を代わる代わる見ている。
何かこの感じ…誰かを思い出すなぁ…。
その少年の後に凛月に目を向けたあたしはそう思った。
「………くしゅんっ!!」
「どうしたトリル??風邪でもひいたのか??」
「えぇっ?!僕にうつすなよ?!」
「うーん…風邪…じゃないと思うんでしゅけど…」
「あっはっは、誰か噂でもしてるんじゃないかな??」
「…だとしたら…アリスしゃん達でしゅかね〜…。」