月から堕ちたアリス
――ガチャッ!!――
突然の音にあたしはビクッとした。
あたし達はその音のした方をバッと見る。
「お待たせしました。村長には言っておきました。どうぞお入り下さい。」
アルトのお父さんが扉を開け、笑顔で中に入るように促した。
『あ……はい…。』
何だ…ドアの音か。
あたしはホッと胸を撫で下ろした。
「…とりあえず、今は中へ入ろう。」
『…うん。』
まだ周囲を警戒しているルビーの腕を引きながら、あたしはラビの後に続いて家の中へ入った。
「へぇー…ちゃんと気配消してたつもりだったんだけどなぁ〜…。なかなか鋭いね、あの子…。」
村長の家の上にフワリと降り立つ人物。
その人物は白のタキシードを身に付け、更に白のマントで全身を覆っている。
「とりあえず、君たちのお手並みを拝見しようか…。」
その人物はそう言って、マントの陰から覗く口の端をつり上げた。