月から堕ちたアリス
家の中に入ると、アルト父子の隣に椅子に座る長く白い髭を生やした老人がいた。



『こんにちは。あなたが村長さんですか??』

「うむ。話は聞いておりますぞ、旅のお方。よくぞわし等の村に来て下さった。」



村長は椅子から杖をついて立ち、にっこりと笑いながら手を差し出してきた。


あたしも手を出し握手を交わす。



『あたしはアリスです。』

「俺はラビ。」

「………。」

『……あ、この目付きの悪いのはルビーです。』

「…ふむ。わしはこの光の村ラルゴの村長、フェルマータじゃ。」

「光の村…??」

「さよう。――いや…光の村“だった”、と言うべきか…。」



悲しげにそう言った村長は椅子に座り直した。
























「…よろしければ、この村の話を聞いていってくれませんかのう…??」

『…分かりました。』



あたし達はアルトのお父さんに椅子を勧められ、それに座って村長の次の言葉を待った。
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