月から堕ちたアリス
「何があったの??」

『え…??』

「どうして階段から落ちたの…??」



先輩達のことを言おうか一瞬迷った。





―――けど、



『何でもないんです。自分で足元滑らせて落ちちゃったんです。我ながら間抜けですよねっ!!』



あたしは無理矢理笑って見せた。





ここで先輩のことを話したら、先生は確実に先輩に何か言うと思う。

あの先輩達のことだから歩のことを先生に言うだろうし…。





歩に迷惑が掛かるようなことにはなってほしくない。



『じゃあ、遅くまでありがとうございました。さよなら。』

「ちょっ…有村さん…?!」



あたしは頭を下げるとすぐ保健室を出た。



これで良いんだよね…??





何か無性に歩に会いたい。



携帯の電話帳からた行を選び、歩の電話番号を出して電話を掛けた。


鳴り続ける呼び出し音。


歩………忙しいのかな…??





















「誰から〜??出なくて良いのぉ??」

「全然OK!!いくらでも待たせて平気なやつだし??」

「…また女??もっと理沙のことだけ見てよっ!!!!」

「他にどんな女がいようと、理沙さんが1番だよ。それに現に今、俺理沙さんのことしか見てないでしょ??」





ふと耳に入ってきた会話に嫌な予感がした。

その会話は目立たない体育館裏から聞こえた。


「もうっしょうがないなぁー歩は〜。」




















―――歩…??
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