月から堕ちたアリス
「本当になんとお礼を言って良いのやら…まさかまた火を拝める日が来るとは……!!」
村長さんが涙ながらにそう言った。
「…ただの火よりは断然持ちは良い。ちょっとした風や雨じゃ消えねぇぞ。」
「みなに伝えに行ってこよう!!」
アルト父子と村長さんは急ぎ足で行ってしまった。
「………でも、この火は術だし…。持って2、3日ってところでしょ??」
『はっ??!!そ、そうなのっ?!』
「あぁ。それに、術は使った本人がその場所から離れた遠い場所に行くと自然に消えちまう。その距離は術者の強さによるけどな。」
『えぇっ??!!じゃあもし今あたし達がここを出発したら――…』
「…おそらく俺達が出発して2、3日経つ前に消えるだろうな。」
『そんなぁ………』
「だから俺は気が進まなかったんだ!!あいつ等に余計な期待と喜びを持たせるだけだし、俺の力を無駄にするし…けど、お前がどうしてもって言うから…。」
『ご、ごめん……。』
知らなかった…
でも、こんなの放っておけないじゃん…!!