月から堕ちたアリス
「本当にお世話になりましたですじゃ!!何とお礼を申して良いのやら…」

『だから、そんな気にしないで下さいってば!!』

「いいや、わし等は“光宝”を取り戻してくれたことだけに感謝している訳ではないのじゃ。」

『え??』



あたし達、他に何かしたっけ??



アルトのお父さんが言う。



「私達は“光宝”を失ってからも何も努力しようとはしなかった…。火や光を自分達の手で使えるようにする術(スベ)を見つけようとする考えすら持っていなかったんです。…全てを“光宝”に頼りすぎていたということに、私達は今やっと気が付けました。」



アルトのお父さんは続ける。


村のみんなもその言葉に賛同していた。



「あなた方は取り戻したことを何でもないように言いましたが、あなた方の姿を見れば分かる――アルトを含め、あなた方はみんな傷だらけです。とても努力して取り戻してくれたんですね…!!」



『あ……。』

「まぁ…今の姿はボロボロだよね。」

「確かに簡単ではなかったが…。」



そういえば、さっきのシチビとの戦闘であたし以外はみんな傷だらけなんだよね。
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