月から堕ちたアリス
少年は神社の周りの木々へ入っていった。


あたしもそれを追って入る。





ここ…こんなに広くてたくさん木あったっけ…??


まるで森の中みたい…!!



見失いそうになるほど遠くの小さくなった後ろ姿を必死で追い掛けた。



鞄を返してほしいというよりも、さっきの言葉。



“あっちの世界”――



それに惹かれてしまっている自分がいた。





本当に、やめられるの…??





















気が付くと森を抜けていた。





しかし少年の姿が見当たらない。



『見失っちゃった…。』



脱力感が出てきた。


そもそもさっき本当に少年がいたんだっけ??



あまりの妙な出来事だっただけに、確信が持てなかった。





前を見ると湖が広がっている。



こんなところに湖…??





半信半疑で近付くと、見間違いではなくやっぱり湖だ。





淵に立って湖を見下ろすと、水面に満月が映っていた。



ゆらゆらと水面に浮かんでいる満月。



――まるで本当にそこにあるかのような錯覚をしそうになる。
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