月から堕ちたアリス
「「「もらったぁ!!」」」



そんなあたしに再び魔法が迫る。



今避けても間に合わない…!!!!





あたしはギュッと目をつぶった。





――次の瞬間、










倒れるあたしの上を凄いスピードで強風が通り過ぎたように感じた。



「誰だっ!!!!」

「わあっ!!」

「う…、うぇ〜んっ!」



3兄弟はその凄まじい風に吹き飛ばされて地面に落下。


みんな目を回して気絶してしまった。





た、助かった………。


一体誰が…??


あたしは立ち上がって後ろを振り返る。





そこにいたのは黒の長い髪を左の高い位置で一本に結い、右目に眼帯をしているあたしと同い年くらいの男の子だった。


頑丈そうな紺の服と白のマントを身に付け、腰に携えていたらしい刀を横に振り抜いた姿勢で止まっていた。



綺麗だが無表情なその顔からは、何を考えているのか全く読み取れない。


そして目が合う。



『あの…ありがとうございました。』



あたしは笑いかけたがすぐにその顔をひきつらせることになった。



何とその人は持ってる刀を納めず、しっかりと握り直したのだ。
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